驚きの軽さ!車いすユーザーも子供も“すべての人”が使いやすい引き戸に

高齢者や障がい者など従来のデザインプロセスから除外されてきた人々を、プロセスの上流から巻き込んで一緒にデザインを作っていく手法「インクルーシブデザイン」。SDGsの前文の「だれひとり取り残さない」につながる考え方で、注目を集めています。

すべての人が快適に開け閉めできる引き戸を、新技術のマグネットソフトクローザーを用いた引戸金物で実現した事例をご紹介します。

the Center for Obstacle-Free Building
(バリアフリー建築センター)

車いすユーザーにとって大きな障害になるドア※1

※1 the Center for Obstacle-Free Building(バリアフリー建築センター)の車椅子ユーザーの方へのインタビューより

開き戸は片手でドアを支えながらもう片方の手で車いすを漕がなくてはならず、出入りが大変です。トイレや廊下などの狭いスペースでは特に難しくなります。

例えば下のトイレの例を見てみましょう。
内開き扉の場合、中に入ると車いすユーザーが移動できるスペースが少ないため、ドアを閉めるのがとても大変です。また室外へ出る時も同様に移動が大変です。

開き扉の操作手順

この問題を解決したのが重量用引戸金物 ジュニア100 マグネットソフトクローザー仕様です。
引戸にすることで車いすユーザーの進路をふさぐことなく、ドアを開閉できるようになりました。
また、重量扉用なので大きなサイズの扉を設置できます。開口間口が大幅に広がるので、車いすユーザーだけでなく、ベビーカーを押す人など、すべての人が出入りしやすい空間に生まれ変わります。公共施設などの大きくて頑丈な重い扉にも最適です。

引き戸の操作手順

軽く開けられると使いやすくなる

引き戸であればどんなものでも、すべての人にとって使いやすいかというと、実はそうとは限りません。
近年主流になっているソフトクローズ引き戸(ゆっくり閉まる引き戸)は、多くが開けるときに重くなってしまう(力が必要)という欠点がありました。最後までしっかり扉が閉まるように閉じ方向に引き込むばねが使われており、開ける際はそのばねを引っ張る必要があるためです。

1990年、アメリカでは“American with Disabilities Act of 1990”、通称ADAという法律が成立しました。この法律では、ハンディキャップを抱える人が米国社会に参加する権利を保障しています。
ADAには建築設計上における、アクセシブルデザインに関するADA基準※2というものがあり、この基準の中では、22N以下の操作力で開けられる引戸が条件として挙がっています。

今回課題を解決した重量用引戸金物 ジュニア100は、新技術マグネットソフトクローザーによって、重い扉でも開けるときの操作力がとても軽く、質量100kgの扉でも約2kgf(22N以下)※3で開けられます。
従来品※4よりも、「より軽く操作したい」という声を反映したHawa ジュニア100。製品の開発には、バリアフリー建築専門の設計デザイナーが携わっており、このADA基準である“22N以下の操作力で開けられる引戸”という条件を満たすことを目標に製作されました。

軽い力で開けられて、閉じる時はそっとソフトクローズするため、小さな子どもも安全に使用できます。
ホテルのスイートルームにも採用され、誰でも軽く操作できる扉は施設の利用対象者の拡大にも繋がります。
高齢者や、障がいによって身体に力が入らない方、車椅子ユーザーも片手で軽々操作でき、すべての人にとって使いやすい引戸を作れます。

※2 身体上・精神上・環境上の事情で動作・行為に制約を受けている人々の必要性を満たす設計基準

※3 Hawa Sliding Solutions社 公表値:最大22N

※4 従来品の例:ジュニア80・・・約4kgf

 

特長動画

製品情報

Hawa ジュニア 100/Z、100/B

Hawa ジュニア 100/Z、100/B

 

  • 引き際の操作力が軽い
    従来のクローザーとは構造から異なる新技術マグネットソフトクローザーを使用。扉を開く際に生じるばねの引張力よりもマグネットの磁力が弱いことを応用し、引き際の操作力を大幅に軽減。
  • 音が静か
    ばねが無いため、閉じ際の「カチッ」というキャッチ音がない。走行時のゴロゴロ音も静かで高級感を演出できる。
  • とても滑らかな動き
    ボールベアリング内蔵の樹脂製ローラーを採用。
  • 長く使える
    磁石はばねに比べて劣化の心配が少ないため、半永久的に使用可能。

※2023年1月12日時点の内容です。

課題のポイント

  1. 車いすユーザーは開き扉だと開けにくい。特に内開き扉の場合は、移動できるスペースが少ないためとても大変。
  2. 高齢者や身体的な障がいによって身体に力が入れづらい方は、ソフトクローズする従来の重い引き戸は開けにくい。

解決のポイント

  1. 内開き扉を引き戸にすることで、車いすユーザーが開けやすくなった。
  2. 新技術のマグネットソフトクローザーにより、従来の重量のある引き戸よりも軽く開けられるため、子供や高齢者などすべての人が使いやすい扉になった。

軽く開けられる一般住宅用の引戸金物は他にも:
LAMP 上吊式引戸金物ソフトクローザー FDシリーズ